いつもは、ひっそりとたたずむ小田原城周辺ですが、この季節は賑わいを見せ、いつになく、華やかな風情になるのです。
咲き誇る桜のためです。
お堀端の桜のトンネルは見事です。
あたり一面、桜色に染まります。
朝、ひとどおりの少ない時、トンネルをそっとくぐり、桜を独り占めするのが好きだと東京に通勤のため、早朝に家を出る主人は言います。
小5の娘は二の丸に咲く桜の華やかさと人々の群れ、夜店の活気に満ちた賑わいが好きだと言います。
(子供なので、何か、買ってほしいのでしょう。)
家族それぞれに好きな桜を愛でるこの季節ですが、私は好きというより、気になる桜の木があるのです。
私が命名したニックネームもあります。
その名も「ナルシストの桜」。お堀に映る自分の姿に見とれているかの様なのです。
その様子はギリシャ神話にあるナルシスそのもの。ナルシスは水に映る自分の姿に恋したと言います。
その桜もそうなのです。
枝を水の間近に垂らすその様は、わざわざ、その美しい姿を恋しい人に見せ示すかのようで、どことなく怪しげな艶やかささえ、感じます。
まるで、誘惑しているかのようです。水辺に映る自分の姿に恋しているのでしょうか。私にはそう見えて、たまらないのです。
毎年、微笑ましくその桜を眺める私です。もしかしたら、私が桜に恋しているのかも・・。
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