とうとう始まった夏休み。
学校から持ち帰った宿題の数々をチェックしながら、あれこれ考える・・・これ、本当は子供のお仕事ですが、まだ低学年でぼんやりさんの娘の場合、適度な(?)親の手引きが必要不可欠。特にこの時期の自由研究や自由工作などは、こちらの勝手な思い込みかもしれませんが、親のセンスを問われているような気がしてなんだか緊張してしまうのです・・・。
で、宿題にも役立つと思い、以前から行こうと決めていた自然史博物館企画の「せみの羽化の観察」に先日行ってまいりました。
ここは、街のど真ん中。私を含め、子供たちもせみの羽化は見たことがなく、私の誤解もあってせみの羽化は早朝に始まると思っていました。ところが、集合は午後6時。日没後すぐに羽化は始まっているのですね。
当日はたくさんの親子連れで賑わっていました。
やはり都会ではこのような企画の手引きがないとなかなか子供に生きた標本を見せてやれないのが現実のようです。
午後6時から30分ほど学芸員の方のお話。この方はせみに関する著書もあり、毎日せみや他の虫の観察に明け暮れていらっしゃる、学者肌のユニークな雰囲気を醸し出している方でした。
観察の注意、ポイント等について詳しく、マニアックにお話ししてくださり、いざ、観察スポットへ。
この日の日没は19:06で、まだ周囲はほの明るい感じでしたが、数匹の気の早いせみの幼虫がもう木を登り始めていました。
しっかりと足場を固めて・・・羽化の途中で木から落ちてしまってはもうアウト、せみにとっては死活問題なので、ここは慎重に行います。
次に、背中がパカッと割れはじめて、まず胸と羽、足が出てきました。面白いのは、上半身を出したその状態で、出たばかりの足を乾かす(?)ため、しばらく殻にぶら下がっているのです。
その姿が、下半身を殻に残したままそっくり返っているので、せみが「イナバウアー」しているようなのです!
数年前だったらこの状態を見てもただ「ぶら下がってるな〜」としか思わなかったはずなのに、あの金メダル感動を体験した日本人は皆、この状態を目にすると「イナバウアー」と表現してしまうのですね・・・
そして5分〜10分後、やおら上体を起こして下半身を抜き出し、出てきた殻につかまって羽が伸びてきます。
ここまでの時間、約一時間くらいで、その間にたくさんの羽化を観察することができました。
この段階ではまだ羽は黄緑色、体も白っぽく、とてもあの「クマゼミ」には見えませんが、6,7時間後にはあの、茶色くて強そうなせみの色になるのだそうです。そこまではとてもお付き合いできないので、8時ごろにはその場を後にしました。
開始から約2時間。ただ羽化を観察するだけのイベントでした。カキ氷もジュースもゲームもありません。
でも帰り道は皆、妙にハイで満足げな顔をして帰途についていました。
参加してよかった!と素直に思えた素敵な時間でした。
もちろん、娘は翌日ちゃっかり宿題の観察記録を仕上げていました。
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