「頭がずきずき痛んで仕事や家事が手につかない」―。片頭痛に悩む日本人は800万人以上と推定されている。山口クリニック(兵庫県西宮市)の山口三千夫院長(兵庫県医師会脳神経外科・神経内科診療所医会会長)は「専門家に相談して、予防を含む治療を積極的に受けた方がよい」とアドバイスする。(中略)
−片頭痛の人はどのくらいいるのですか。
「北里大学の坂井文彦教授らの調査では、片頭痛にかかっている人は成人の8.4%で約840万人とみられています。このうち定期的に医師の診察を受けているのは2割以下で、600万人以上の人は市販の鎮痛剤でしのいでいるか、我慢をしているとされます。(中略)女性の方が男性より3〜5倍多く、30〜40歳代の女性で顕著です。(中略)
−原因は。
生まれつき頭の血管が広がりやすい体質の人が片頭痛になりやすいとされます。夏に暑いところを長く歩いたり、長湯をしたり、アルコールを飲んだりすると、片頭痛の人は頭皮の血管が広がり頭が痛くなります。血管が広がると、そこに分布している神経が引っ張られて痛みが生じるといわれています。(中略)女性ホルモンも関係しているとされます。
−治療薬は。
セロトニン(という治療薬)は心臓などに作用するので、むやみに投与すると危険なのですが、トリプタン系の薬は頭皮の血管だけに効くため安全です。頭痛が起きた時に、早めに飲んでもらいます。服用した人の7,8割に効果があるといわれています。ただ、錠剤なので嘔吐している人には使えなかったのですが、最近、点鼻薬が出て、嘔吐している人でも使えるようになりました。
−予防法は。
頭痛が来る前に塩酸ロメリジンという薬を朝と晩の2回飲んでもらいます。(中略)規則正しい生活を送ることも大切です。
------------------------(ここまで日本経済新聞『病を知る』記事)