オホーツク紋別空港から車で四十分。まっすぐに伸びる国道273号の両側に、三角屋根の家や淡い色合いの建物がぽつりぽつりと見えてきた。「この十年で主な公共施設の外観を童話村のイメージに合うように変えている」と迎えてくれた同町役場の小栗健次さん。「住民も家を建てるときは、屋根などのデザインや色を工夫してくれる」とうれしそうだ。(中略)
町が童話村構想を打ち上げたのは一九九〇年。森林面積が六百九十平方キロメートルと町全体の九割を占める同町は、林業の衰退で人口の急減に見舞われた。八〇年代後半には五千人を割り込み、ピーク時の五五年の四割を下回った。危機感を強めた当時の山口恒雄町長は、欧州に手本を求め、森や渓谷など豊かな自然景観を生かした町づくりを提案した。(中略)
香りの里のハーブ体験実習館「キューパレス」でリース作りやミント染めを指導する大山道子さんによると、秋は十月末に閉園するまで、週末を中心に団体旅行客などでにぎわうという。「東京や大阪などから訪れる人もいるが、近隣の市町村からやって来て、町の景観やハーブガーデンを眺めながらのんびり過ごす人が多い」(中略)
-------------------------------------(ここまで日本経済新聞記事)