大阪府東部の大東市。今月十七日の夕方、市役所近くの集会所で、4月に民営化された「上三箇所保育園」の保護者らが結成した「大東の保育を考える会」の会合が開かれた。(中略)
大東市は2001年、市内6ヶ所の公立保育所を土地・建物ごと民間に売却すると発表した。「財政再建に向けた経費の削減」(同市保育課)がその理由。これに対し「保育の質が落ちる恐れがある」と反発した保護者らは昨年11月、民営化取り消しを求めて大阪地裁に提訴した。(中略)
市側は「進め方は他にもあったかもしれないが民営化の決定自体は間違っていない」(保育課)という姿勢を崩していない。(中略)
自治体側は「民間の方が夜間や休日の保育対応が柔軟で質の高いサービスを提供できる」「受け入れ児童数が増える」などと民営化利点を強調。これに対して保護者側は「スタッフが全員入れ替わり、子供を安心して預けられない」
「民間は経費を抑えるため経験の浅い若手保育士が中心。保育の質が落ちる恐れがある」などと反論する。(中略)
保育所の民営化について小田原女子短大の小田まゆみ教授(保育学)は「自治体の財政事情などからやむを得ない面もある」と指摘。その上で「公私立それぞれの役割を明確にし、時期をかけて保護者の理解を得る必要がある。何よりも子供の利益を最大限保証するよう努力しなければならない」と指摘している。