これからの暑い季節、香辛料が効いたカレーは食欲をそそります。私のような40歳代後半の世代さえ、子どものころから慣れ親しんできた料理といえばカレーライスです。
カレーは、子どもたちにとって「お誕生会」などの特別なごちそうでした。といっても、母がつくっていたカレーは、じゃがいも、にんじん、たまねぎをすべて薄切りにして、肉はやはり薄切りした「鯨肉」を使っていました。カレーの味付けは、子どものころは「ルウ」ではなく「粉末」でした。それを入れると、もともと鍋の水分が多いので、まるでスープのようになっていました。
小学校3年のとき、学校給食が始まり、メニューに「カレーシチュー」がありましたが、具材の大きさにびっくりしました。また、グリーンピースや「牛肉」が入っていたので、とてもめずらしく感じました。給食の肉は、たいていが安い部位のものでした。肉嫌いの子にわざと「てんこもり」の肉を入れるいたずらもあり、私もそのターゲットに遭い、肉類は長い間苦手でした。
小学校高学年でキャンプに行ったときも、メニューはカレーでした。そのときも、具材の大きいのと、野菜を油で炒めているのを見て驚いたものです。
時代の変化とともに、「料理に入れる食材はこうあるべき」という観念はだんだん薄れてきたように思います。でも、高校時代の友人の義姉が、カレーにりんごやバナナを入れると聞いたときは、正直、引きました。果物は加熱するものではないという考えが抜けなかったからです。後年、私もカレーに「焼きリンゴのスライス」をつけ、姑ににらまれました。
海外へ行くと日本食が恋しくなります。私が、20年前訪れたスイスの地方都市で出会ったカレーライスは、丸いお皿に「てんこもり」のご飯。ヨーロッパのご飯は日本よりも長細いものです。油で炒める料理が多く、サラダまで油っぽいのには閉口しました。
さて、そのご飯の中央に、ちょこんと乗っているのは、白っぽい、まるで「クリームシチュー」みたいなおかずでした。それが、待ちに待ったカレーライスだったのです。私の悲しみが倍増したのは、いうまでもありません。
さて、カレーは私の冷凍室にいつもある定番のおかずです。カレールウで味付けができますので、多少の失敗があっても、食材さえ古くなければ問題はありません。そこで、カレー料理について、自分なりにまとめてみました。
<カレールウが足りないとき> |
ルウはいつも中辛を使う
とろみをつけるために入れるもの(下記のいずれか)
片栗粉(水溶き):少々
チョコレート:かけら2〜3個 |
<甘味がほしいとき入れるもの> |
はちみつ |
<辛味がほしいとき入れるもの> |
白菜キムチ(具も兼ねる) |
<具材にしてよかったもの> |
基本的には、野菜類全般(ゴーヤなどの苦いものもOK)
果物(りんご、バナナ) 高校時代の友人に聞いたときは引いた
野菜、果物は細かくすると違和感がなくなり、カレーの香辛料で
食材のにおいも消えるので、野菜嫌いの子どもにもいい
ツナ缶詰(肉のかわり)
高野とうふ |
<具材に適しないもの> |
こんにゃく類
冷凍保存して解凍したとき、こんにゃくだけが中途半端に固まって、
元にもどらない
アレルギー食材
子どもによって、アレルギー食材は違うので、よその子どもを招いての
会食のときには、あまり変わったものは入れないように気をつける |
表組のなかでも書かせていただきましたが、カレーは香辛料によって料理の下手さをカバーしてくれます。また、中辛のルウを使うと、味付けも後で加減することができます。いろいろな具材を入れることで在庫整理にも最適です。
この原稿を整理していたころ、奇しくもお昼のテレビ番組で、カレー粉の効果的な利用について特集をしていましたので、その内容をまとめてみました。
<カレー粉の効果> 色素、辛味成分、香り成分を利用 |
(ガン予防)カレー粉 + 油 + 発酵食品(納豆、ヨーグルト) |
・カブラナ科(かぶ、カリフラワー、ブロッコリー、キャベツ)の野菜を
炒めるときにカレー粉を入れると、ガン予防効果が10倍高まる
・野菜を炒める途中で 油大さじ2(炒めたときに残っている油、不足分
は追加する):カレー粉大さじ1 の割合にして野菜にからめる
・炒め上がったものに発酵食品をかける(冷たいものか常温のもの) |
(肌の老化予防)カレー粉 + マヨネーズ |
・魚介類と組みあわせるといい
リジン(必須アミノ酸)が肌を活性化 レシチンが肌細胞を守る
・カレーマヨネーズをつくり、カジキに塗って冷蔵庫で15分寝かせた後、
オーブンで焼いて食べる |
(肥満予防)カレー粉 + 酢(加熱してから冷やして使用) |
・食物繊維(脂溶性、水溶性どちらでも)が脂肪を燃焼させる
・かんてん 枝豆 ごぼうを使った料理にかける
ところてんのカレー酢あえ |
なお、この番組ではアレルギーについては触れられていませんでしたので、心配な方はくれぐれもご注意ください。 |