私が小さいころは、洋服の色もいまほどカラフルなものがなく、着る服はいつも紺系の地味なものでした。もちろん、赤など他の色もあったのですが、お世辞にも色が白いとはいえなかった私の顔を少しでも白くみせるための親心からきた選択でした。
突然ですが、中学時代の美術で習った「色の3原則」について復習してみたいと思います。
色の3原則 |
・色相:赤、黄、青などの色味を表す
・明度:色の明るさの度合い
・彩度:色の鮮やかさの度合い
これにイメージとして、トーンが加わる。
トーンは、明度と彩度を同時に働かせて色の調子をつくる。 |
私に転機が訪れたのは、22〜23歳のころです。いまは、美容院へは行きませんが、あのころは年に何回か美容院に行って髪をカット、あるいはパーマをかけていました。
髪を切るための準備として、店員さんが私にビニール製のケープを掛けたときのことです。「わぁ! 赤がよく似合うね」その店員さんの口から反射的に出たことばには、ウソ・偽りは感じられませんでした。そのケープは、沖縄のハイビスカスを連想させるような大きな赤い花柄のものでした。ところどころ、緑色の葉っぱがちりばめられています。
ケープで肩をすっぽり覆われた瞬間は、鏡越しに私も見ていました。赤い花柄模様のケープのおかげで、見栄えの悪い私の顔がパーッと華やいで見えたのです。それ以来、洋服を選ぶときは、意識して赤を求めるようになりました。
それから約10年後のことです。あるコンサートにゲスト出演することになった私は、当日着るためのスーツを探しに店に行きました。ふだん7号サイズでもおつりがくるほど、スリムな私のサイズなど、そうあるものではありません。あっても、スカートの丈が短かい若者向けのものは、気にいりませんでした。仕方なく黄色のスーツを試着することもなくゲットして帰りました。
大きいかなと心配したスーツですが、なんとかそのまま着ることができました。ただ、生地が薄くてスカート部分が透けて見えそうなので、白いTシャツをつぶしてペチコートをつくり、窮地を切りぬけました。
さて、迎えたコンサート当日は、大変楽しい思い出が残りましたので、それ以来、赤と並んで、黄色も好んで着るようになりました。
そんな私のところに、友人A子さんからたくさんの洋服のプレゼントがあったのは、この春のことです。人一倍色が白いA子さんの好みは、グレー、茶色、うぐいす色などの中間色が多いのです。そういえば、娘の私とは対称的に色白で美人だった亡母も、A子さんと同じような好みでした。
ところが、色が白くない私には、とても着られそうにない色ばかりで、正直落ち込みました。それでも、自分が持っている服とうまく組み合わせて、ありがたく着せてもらっています。
このことがあり、身のまわりにあるものの色について、改めて考えてみることにしました。たしかに、私の洗濯物は、見事なくらい、赤、黄色、オレンジなどの原色が並んでいます。これから夏になると、さらににぎやかになることでしょう。
ところが、カーテン、寝具のカバーなどは、当たり障りのない中間色を選んでいることに気づいたのです。
カーテンは、通販の特売品でした。前の引越しで窓の数が増えたとき、縦のサイズ違いを購入しました。「暖色系」と「寒色系」の2種類があったのですが、私は暖色系を選びました。ベージュに近いピンクをベースにしたもので、規則的な花柄になっています。花の種類までは気にならなかった私ですが、よく見るとチューリップの柄になっています。
花はピンクや藤色で、葉っぱは、薄いうぐいす色や水色です。いずれもパステルカラーで統一されていることに初めて気づいたのです。しかも、チューリップ本来のイメージとは大きくかけ離れていますが、けっして不自然ではないのです。さらに、それより少し前に購入したカーテンも、偶然チューリップだと気づいたのです。こちらは花から葉っぱに至るまで、すべてピンク系になっています。
寝具カバーも、やわらかいピンク系を集めています。また、バスタオルもピンク系、ブルー系、うぐいす色などです。洗濯はさみは、水色、ピンクの2色を持っています。
よく考えると、日用品、それも身につけるものではなく、生活のために使うものは、パステルカラーのものが多いように思います。また、そのほうが、生活空間にもやさしいような気がします。
そこで、パステルカラーについて、長所と短所をまとめてみました。
パステルカラーについて |
<長所> |
・当たり障りのない、やわらかい色である
・繰り返し洗濯しても、色落ちがわかりにくい
・アンダーウエアとして選びやすい
(ちなみに、私が通販で選ぶ下着類は、意識はしていなかったが
すべてパステルカラーだと気づいた) |
<短所> |
・その人の顔のつくりによっては、ミスマッチになることもある
・安っぽい印象を持たれることもある(グレー系など) |
こうして、身のまわりの生活空間を見直してみると、けっこうパステルカラーのものが多く、しかも、全然嫌味がないことがわかりました。たびたび買い替えることができない日用品には、あまり個性的な色よりも、やさしい色調を選ぶほうが無難とも言えます。 |