自分で仕事をしている私には、万一のときの所得補償はありません。もちろん、医療補償の保険には加入していますが、これからの時代、入れるものなら所得の補償も願いたいものです。
さいわいにも、月掛けで手軽なものがありましたので、誕生日の前日に契約をしました。1歳でも若い方が掛け金も安く有利なのですが、ちなみに、このA社との契約に関しては、あまりメリットはありませんでした。
A社のプランは次のようなものです。
年 収 |
勤め人 |
270万円未満 |
270万円以上 |
360万円以上 |
450万円以上 |
プラン |
A |
B |
C |
D |
保障上限額 |
6万円 |
9万円 |
12万円 |
15万円 |
掛け金(例) |
1,810円 |
2,890円 |
3,970円 |
5,050円 |
一部、数字で矛盾する点がありますが、パンフレットをもとに転記しました。
加入するとき、この保険の特徴の1つとして、専業主婦は、夫の収入によりその所得額までの加入ができるということは知っていました。
さて、無事契約が成立して、手元に証書が届きました。そして、その内容を見て驚いたのです。
「約款」の「第2章 保険金の支払額」というところを読んでみると、次のような記載があります。
「平均月間所得額が保険金額より小さいときは、平均月間所得額を就業不能期間1カ月についての支払い保険金の額とします」
つまり、「プランA・上限6万円」まで加入していた人の収入が5万円だとすると、5万円しかもらえないという理屈になります。もちろん、余分なものまでもらうための保険ではないことはわかっています。しかし、そこには大きな矛盾点があることに気づいたのです。それなら、収入のない専業主婦は、保険に加入しても保険金が下りないのではないかと……。
そこで、私はA社に電話照会をしました。すると「専業主婦は、夫の所得により加入ができ、満額の保険が下ります」との答えが返ってきたのです。私は「収入がない専業主婦・本人に補償が下りるのは矛盾するのではないか」と、反論しました。しかし、「夫の所得に応じたプランに加入するためには、保険金も高いのだ」と。たしかに保険料は、補償の内容により高くなっていきます。それでも、いざ受け取るとなると、そういう問題では済まされません。私は、納得できないまま電話を切りました。
その後、A社の「保険用語集」に、次のように記載されていたのを見つけました。そこには「所得補償保険」とは、「病気やケガにより働くことができなくなった場合に、働いていたならば得ていたはずの収入を補償する保険のことをいいます」と書かせていたのです。
これから先は、仮定になりますが、年収が450万円以上の夫がいる女性2人が、この保険に加入する場合を考えてみたいと思います。
専業主婦Bさんは、最高額の補償が得られる「プランA・上限15万円」に加入ができます。ところが、自分も仕事をしていて年間所得が150万円のCさんは、「プランB・上限9万円」にしか加入できないのです。補償額は月にして6万円も違ってきます。
専業主婦のBさんに比べ、仕事と家事を両立させているCさんのほうがハードな日々を送っているはずです。ところが、Cさんは自分の所得に基づいて加入しますので、このプランにしか入れないのです。
それなら、Cさんも専業主婦ということにして加入すればいいのではと思いますが、職場でケガをした場合、告知義務違反が判明し保険が下りません。結局は、正直にありのまま加入するしか方法はないのです。
私は、けっして専業主婦の仕事を軽く考えているわけではありません。しかし、仕事を持っている人は、当然、家事もこなしながら働いているのです。そのことを保険会社にもわかってほしいと思います。
同じようなケースが、国民年金制度にもあります。第3号被保険者といって、専業主婦は、夫の扶養扱いになるのです。働いている女性は、所得にもよりますが、夫の扶養に入れません。ましてや、配偶者のいない人は、いうまでもありません。
せっかく入った「所得補償保険」ですが、この先、どうしようか真剣に悩んでいます。保険は、文字通り万一のときを補償するものですから、日常的に保険をもらうようなことがあっては困ります。しかし、あまりメリットがない、しかも自分には不利な内容みたいで、A社の保険には納得できないでいます。 |