「……日額いくら、手術代いくらというタイプの任意保険に加入していて、入院後に、その保険金に公的保障である『高額療養費制度』でお金が戻って来ると、『すごく得したな』と感じます。でも保険で得する必要はないわけで、逆に月々の保険料支払いが多すぎたことになりますね……」
これは、私があるパンフレットで読んだ対談内容ですが、まさにその通りですね。保険というものは、種類にかかわらず「万一のための保障」として加入するのですから、毎月あるいは毎年の掛け金がかさんでも「お守り」と思っている人が多いのではないでしょうか。ちなみに、この文中の「高額療養費制度」は、自己申告しなければ還元されず、しかも申請から3カ月ほどかかります。その関連記事が7月25日付で掲載されていますので、参考にしてください。
私は、地元の団体職員として社会人としてのスタートを切りました。その仕事のなかには、日常の業務のほかに、いわゆる「A共済」の推進(勧誘)がありましたので、保険に対する関心はいまでも人一倍あると思っています。
いまから30年ほど前の保障といえば、「死亡していくら」というもので、本人には何の特典もありませんでした。私が社会人になるころから「入院特約付き」の保険が登場、以後いろいろな種類の保険ができています。
私が現在も継続しているA共済は、いまから18年前に加入したものです。そのころは、再婚したら子どもを産めるという期待もありましたので、子どもたちのために残しておくことを重点にしました。
しかし、その必要性がなくなり、いまから5年前に保障内容を小さくしたのです。その内容は次のとおりです。
<A共済> 終身タイプ・55歳までの保障内容 |
|
(加入当時) |
(現在) |
55歳以降の死亡 |
300万円 |
300万円 |
病気死亡 |
2,100万円 |
600万円 |
災害死亡 |
4,200万円 |
600万円 |
入院・日額 |
10,000円 |
10,000円 |
がん入院日額 |
20,000円 |
20,000円 |
掛金(年払) |
144,100円 |
87,700円 |
これはおおざっぱにまとめたものですが、こうして比較してみると、加入当時、半端でない大きな保障をつけていたことがわかります。この種類の保険は3年目からある程度掛金が安くなるのですが、貯金利息が安いこの時代ですから、あまり期待はできません。
私が、病気や災害での死亡を600万円に設定しているのは、入院日額との関係があるのです。この入院日額は、主契約・55歳以降死亡保障(300万円)の1000分の3を超えることができないのです。つまり、55歳を超えると自動的に日額が9,000円に減少してしまいます。しかし、せっかく入ったのですから、いまは日額10,000円を継続していたいのです。
入院日額1,000円の保障の違いですが、いざ支給を受けるとなると、毎日の積み重ねは大きいものがあります。ちなみに、このA共済では、最低10日間の入院が必要で、その代わり、入院した場合は初日分からカウントされます。
私がこの大きい保障に入って、保険金の給付を受けたのは1度だけです。4年前、13日間の入院で130,000円をもらいました。そのときは「今年の掛金が助かった」という気持ちが大きかったのを覚えています。
しかし、ほんとうに助かったのはその年だけでした。あとは、まるまる保険料が必要なのです。保障を小さくした5年前に、「一時金」として85,500円が戻ってきましたが、いままで掛けてきた分と比べるとその額がいかに少ないものか、わかっていただけると思います。
それでも、このA共済を解約することができないのは、いま解約してしまうともう以前の条件で加入できないからです。年齢的なこともありますが、身体の状況で告知すべき条件ができてしまうと、加入そのものも難しくなります。
それに、解約直後に入院となると、目も当てられません。そんな悲惨な経験をしないためにも、このA共済を「トラの子」として大切に守るしかありません。
実は、私は、この保障を小さくした年にもう1つ保険に加入しているのです。それが、「B共済」です。18年前に加入した共済を小さくした分、つまり安くなった分との差額で入れたからです。その内容は、次のとおりです。
<B共済> 60歳まで |
病気死亡 |
580万円 |
災害死亡 |
1,000万円 |
災害での通院日額 |
2,000円 |
災害入院日額 |
10,000円 |
病気入院日額 |
8,600円 |
掛金(年間) |
48,000円 |
年に1度割戻し金あり |
これに加入した翌年、前述した13日間の入院をして、最初の4日は差し引かれましたが、9日分・合計77,400円を受けることができました。これは毎月4,000円の月払いですが、毎年払戻しがありますので助かっています。今年度は、年間48,000円の掛金に対して約14,000円の払い戻しがあります。
私の場合、A共済の死亡保障を小さくして、入院保障型のB共済に新たに加
入したことは正解だったと思います。
こうして加入した2つの共済の保障内容をまとめてみました。
<A共済+B共済> 現在の保障内容 |
|
(A共済の元契約) |
(A共済・B共済の合計) |
病気死亡 |
2,100万円 |
1,180万円 |
災害死亡 |
4,200万円 |
1,600万円 |
災害入院日額 |
10,000円 |
20,000円 |
病気入院日額 |
10,000円 |
18,600円 |
がん入院日額 |
20,000円 |
28,600円 |
災害通院日額 |
0円 |
2,000円 |
掛金(年払) |
144,100円 |
135,000円 |
割戻し金があるので、実質年間120,000円くらいで済む |
掛金は安くなり、医療保障がアップできたのがよくわかります。私はひとり暮らしですので、死亡保障は最低限でいいのです。しかし、死亡保障(主契約)だけを小さくできないので、仕方なくそこそこの保障をつけています。もちろん、現在は、安い掛金で「医療保障のみを重点」にしている保障もありますので、これから入られる人は、選択肢が広がると思います。
万一のことがあっては困ります。また、予期せぬ入院があっても困ります。
いまはいろいろと種類ができていますが、体が悪くなってからは加入できないものもあります。私も、元気なときにA共済に加入していてよかったと思っています。
みなさまも、それぞれのライフスタイルに応じて、いちばん必要な保障をつけられることをお勧めします。
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