1年前の私は7年間勤めていた会社で仕事も順調、給料も同年代の女性の倍以上はもらっていました。しかし女性の少ない仕事場で今ならセクハラとも言える男性陣からのお誘い攻撃。取引先のオッサンからの脅すかのような言葉でのお泊りの誘い・・・私が本当にやりたかった事はこんなことじゃないのに・・・という気持ちが抑えられなくなっていました。
私が昔なりたかったものってなんだろう?と昔の記憶をたどっていくと、それは保育士でした。もともと子供が大好きで、ボランティアで地域の子供達にスポーツを教えたりしていた私は、もう一度夢を追う決心をしました。ネットで保育士の資格所得について調べている時、ある学校のホームページにたどり着きした。そこには「ベビーマッサージ講師養成」という文字が。「なんじゃ、これ?」と思いましたがなんだか気になってベビーマッサージについて調べはじめました。ベビーマッサージは海外などでは医療現場にも多く用いられており、世界中で注目されている赤ちゃんの心のケア、症状別ケア、母子の絆を深め虐待などの予防にもつながるマッサージをママが毎日赤ちゃんに行なうものだ。そのマッサージを安全に行なえるよう、分かりやすくママに教えるのがベビーマッサージ講師の役目だということが分かった。なんだか運命的な気がしてならなかった私はすぐにその学校のベビーケア総合科へ入学した。仕事をしながらでも勉強出来るように学課の部分は通信で受け、実技的なところはスクーリングでカバーするようにしました。勉強を始めてからは、やっと自分のやりたい事をみつけた喜びでどんどん勉強は進み、学校側の予想修了期間の1年より4ヶ月も早い6ヶ月で修了。資格試験も一発合格、ベビーケアセラピストになりました。その後独学で様々な子供の発育についての勉強をし、自信のついた私は無謀にもいきなり自分で教室をはじめる事にしてしまったのです。自分で始めようと考える前に、試験に合格した次の日には会社に退職を伝えてしまっていました。長くお世話になった会社を辞めるのに、心の中は開放されたような、すがすがしい気分でした。本当なら何所か実際に開講している教室で働いてから独立して自分で始めるべきなのかもしれませんが、まだベビーマッサージ自体が日本に入ってきて数年であるためベビーマッサージ教室は東京には多いようですが私の住む地域にはほとんど無い状態でした。ここは思い切ってはじめるしかない!と思って初めてみると大きな壁が・・・
訪問でのベビーマッサージ講習と脳と心を育てるお遊び紹介も含めて始めたのですが、ベビーマッサージって何??と分からない人が多く怪しがられてしまい宣伝広告などにもかなり苦労しました。最初はカルチャー施設などとの契約を考え、ひたすら開講願いとプレゼンを続け、なんとか5つの大手カルチャー施設と契約することが出来ました。宣伝広告などはカルチャー施設の方に任せられるし、施設での教室開講と訪問での講習でなんとかなりそうだな・・・と思っていたのですが、生徒さんがどれだけ来てくれるかは不安でした。まずはベビーマッサージの楽しさや必要性をママ達に分かってもらうため、本講座開講の前に無料の体験講習をひたすら行ないました。会社を辞めてから半年は収入無しで頑張りました。多くのママに分かっていただき、今では口コミで受講してくれる方が増え、NPO法人として講師育成も始めようとしています。収入は多くはありませんが、沢山のママ、赤ちゃん、プレママの笑顔に出会えて毎日とても幸せです。思い切って安定した高収入を捨てた判断も今では間違っていなかったと思えます。
きっかけがどんなことであっても、始めようと考える歳が遅くても、自分の納得できる毎日が送れる幸せを手にする為の一歩を踏み出す勇気は大切。本当の自分を見つける幸せを沢山の人に感じて欲しいと私は思います。
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