ある日のこと、子供の通う小学校で懇談会がありました。上の子(5
年)の方に出席したのですが、その日の議題が「子供たちに伝えていき
たい事」でした。いくつかのグループに分かれて話し合ったのですが、
自分のグループではみなさん伝えていきたい事よりも、まだまだ教え込
む事の方が多いという話しをしていました。
そんな中Aさんが「我が家は戦争について子供たちにいろいろ伝えてい
るよ。」とおっしゃいました。特に原爆について、悲惨な状況だった事
や戦争の映画なども子供たちに見せたりして説明しているとの事でし
た。Aさん自身も被爆三世か二世だと言う事も教えてくれました。だから
こそ自分の子供たちに伝えなくてはいけないと思っていると話してくれ
ました。
ふと夏休みの事を思い出しました。
毎年、原爆が投下された日にサイレンにあわせて黙祷をしますよね。
その放送が流れたとき、同じ部屋にいた二年になる息子に「今日は原爆
って言う怖い爆弾が落とされて、たくさんの人が亡くなった日なんだ
よ。だから黙祷しようね。」と言ったんです。
ところが息子はきょとんとして「なんで俺が爆弾で死んじゃった人の
為にお祈りやらなきゃいけないの?」と言ってきたのです。
びっくりしました。
私が子供の頃は当たり前のようにサイレンが鳴るたびに黙祷をしてい
たのに、今の子供にはわからないようなのです。そこで私がしっかり説
明すればよかったのですが、私自身も何と説明して良いのか言葉がでて
きませんでした。
結局私一人で黙祷しました。
今までは戦争を体験した人たちから戦争の事を聞いてそれを自分の子
供に伝えていくということができたけど、だんだん戦争を体験した人が
減ってきています。だからこそ映画や展示会など子供たちにも理解でき
ることから教えていかないといけないのだなと思った出来事でした。
実は私自身が戦争の映画などがとても見れないのです。「ほたるの
墓」を一度見たことがあるのですが途中で怖くなって見れなくなってし
まいました。なので子供にも見せることができないんです。戦争を体験
した人の話を直接聞いた事もありません。だからあの時息子に説明でき
なかったのだろうなと思います。
Aさんのようにしっかり伝えなければいけないのはわかるのですが・・・。
来年の夏またサイレンが鳴った時、息子はその意味を少しは理解して
くれるのかなぁ。
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