「時間がなくてできません」・・・社会に出る直前、卒業式で学校の先生からどんなに忙しくても決して使うなと言われた言葉。
それから10年あまり、この意味がちょっとだけわかったような気がする。
今まで働いてきた10年間。独身時代だって時間がなかった。
結婚したら会社の仕事に家の仕事が加わり時間がないと思った。
そして現在はじめての育児休暇取得中。あと10ヶ月後には仕事に復帰の予定。
会社の仕事は休んでいたって、代わりに降ってわいた慣れない育児と家事で一日はあっという間に終わっていく。
会社の仕事に夫、そして子供との生活。
年を重ねるごとに生活の中身が濃くなっていく。
今よりもっと「時間がなく」なるんだろう。
独身時代の仕事だけしゃかりきにやっていた昔の自分に「あなたは自分のお世話しかしてないじゃない、私なんて・・・」と先輩風を吹かせたなる。
10年後、20年後の自分から今の自分はどう見えるだろう?
比較にならないけど、最近急浮上したアメリカの副大統領候補の女性(5児の母!)と比べたら私はどれだけ時間がないのだろう?
「時間とお金は自分で作るもの」・・・学生時代の友人が残した名セリフ。
セリフの主はアメリカに羽ばたいていったっけ。
いま、慣れない専業主婦育児生活のなかで、子供の寝静まったすきをみて、独身時代に読みかじった英語の参考書を紐解く。
もちろん最初はちんぷんかんぷん、苦痛だったけど、一日五分でも毎日続ければ、きっと職場復帰後には役に立つかな?
「時間がなくてできません」・・・育児休暇前に何度も喉まででかかった魔法の言葉。
この言葉を口にした瞬間、できないことの言い訳ができるし、背負い込んだ荷物からは開放されるのだろう。
だけど、楽になるために捨てた荷物は二度と戻ってこない。
「時間がない」のを口実に今の状況から降りるのはいつでもできる気がする。
とりあえず、しばらくは冒頭の言葉を封印しておこう。
コラムに関するご意見・ご感想はこちらへ:info@e-koe.net |