我が家のタンスの中に祖母の昭和時代のウールの着物が眠っていました。黒い無地に青いラメがかすかに入ったいい感じの生地で、和裁の先生だった祖母が縫ったものです。
一針一針、優しかった祖母の思いの詰まった縫い目をほどいていると、かすかに懐かしかった祖母の懐の香りがします。子供の頃におぼえたなんとも暖かい気持ちに包まれながら、手仕事のみごとさに感動を覚えました。
ほどき終わった生地をおしゃれ着用洗剤で洗って、軽くスチームアイロンかけてみました。
驚いたことに、着物って、ほどくと全部真四角の布になっちゃうんですね・・・
ダンスを習っていた娘の衣装くらいは縫ったことがある私なのですが、自分の服を縫うのは高校時代の家庭科の実習以来です。そこで、本屋さんに出向いて、ふくよかサイズのための簡単ソーイング本を見つけて購入しました。
昭和のウール生地ってとてもしっかりしていて、シンプルに丸首半袖のブラウスとタイトスカートの型紙を使えばフォーマルにもなりそうです。
添付の型紙を参考に、自分サイズに切り出した型紙を当ててみると、うまく収まったので、ミシンを引っ張り出して肩、脇、袖と縫っていき、背中にファスナーつけて仕上げました。
手作りだから、ゆとりも、ウエストも、丈もばっちり自分サイズです。仕上がってみると、予想以上にフォーマルでいけそうです。シンプルなデザインですから、コサージュをつけてみたり、手持ちのジャケットやボレロ、ショールなどで変化をつけてみるのもおしゃれそうです。
本とにらめっこで、何度も自分の体にあてたり、鏡を見たりしなら、ゆっくり、ゆったりした気持ちで縫っていると、祖母が笑顔で見守ってくれているような気がして、とても楽しい経験でした。
気持ちのゆとりが必要な作業ですが、手を動かすことの好きな自分には癒しにもなってよかったです。
きものリサイクルって最近流行のようで、よく本屋さんで見かけますね。ああいうのを参考にしながら、でも、けっしてとらわれずに自分流で楽しめたらいいですよね。
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