9月に入っても相変わらず入道雲はその雄姿を誇っています。
今年の暑さは格別。高齢者の常なのですが、ばぁばもご多分にもれず、エアコンを使わない、水分をとらない、しっかり食べない。
そんな中にあっても、どうにか盛夏を健やかに過ごせたのは、ケアマネージャーさんをはじめ、ヘルパーさんの細やかな心遣いあってのこと。感謝感謝。自尊心を損なわないよう手を添えるタイミングも絶妙。
よくまあ、あれだけ口の減らない人に…。引越しまであと少しだけ甘えさせていただきます。
…にしても、もっと優しいエアコンのリモコンができないものでしょうか。操作方法が面倒臭くて使わなくなるのです。
地デジも液晶テレビもIHヒーターもシルバー世代に優しいようで実は厳しいかなぁ。これはばあばに限らず義父母にも、仕事でお邪魔するシルバー世帯でも良く感じることです。
ばあば…ウチに来たらさ、適温の部屋で観たいテレビ観ようね。リモコンへの質問も5人体制だよ。
さて、体調もなんとか維持できているようだし、予定通りそろそろ決めてもらおう…と、ある日の夕方ばあば宅を訪問。
家財道具の取捨選択の話はちょっと困難が待ち構えてそうだけど、喜びそうな「ネタ」も持ってきたし頑張ろう。子ども達にも見せない極上の笑顔と声で尋ねました。
「…でどれを持ってく?」あっ、顔曇った。
人には不要物に対し、数パターンの対処、或いは心情がある気がします。
1.いつか使うかもと捨てられないタイプ。
2.極めて淡白、使う傍から要不要を決め即行捨てるタイプ。
3.近年の環境事情で捨てたくてもゴミ袋の代金や保管場所・収集日でブルーになるタイプ。
ばあばは1。私は2時々3。
結局のところ、大物の食器棚と洋箪笥2棹他かなりの家財を処分することに同意してくれましたが、そびえ立つ紫檀の仏壇は処分保留。
うーん申し訳ないけど、新しい居室は洋間の6畳で押し入れも半間だし、介護用
ベッドや和箪笥・テレビ台・冷蔵庫を置くと限界。明日にでも仏具屋で写メってこよう。
衣類の分別は先週頼んでいたのに段ボール箱ひとつ分が置いてあるばかり。持っていく方かと思ったら捨てる方だって…。常套句の「いつか着る」
食器に至っては個々のプロフィールまで語り出したので、押し気味に客用の茶器と銘々皿で手を打ってもらいつつ、間髪いれず「本日のネタ」末っ子のコンクール全国大会出場をご報告。やたっ。
いやいや不味かった。めでたや全国大会→孫は東京→それなら餞別→出どこの年金…という図式を連想させてしまった。
年金の手続きに話がもつれ込み、「早く新住所を届けないと来月の年金が入らない。国も早く届けるように言ってる」と、ざっとした説明ぐらいでは納得できない様子。
ばあばは「認知症」でも「うっすらちゃん」でもありませんが、生来の性格とこの年齢に顕著な傾向で、なかなか自分の思考を客観的事実と照合したがりません。
例えば…地方銀行のA支店、しかもカウンターでしか入出金したくない、とのこだわり。B支店でもC出張所でも、ネットワークがあれば県外でも可能なことは認識できるのに利用は拒否。コンビニで24時間できるよと言えば「気持ち悪くてできません!」
大きな使用済みカレンダーの裏に油性マジックで図式を書きました。この頃こうやって段取りを説明しています。
まずは市役所で住所変更。次に後期高齢者の保険証も住所を書き換え。それから社会保険事務所に行き、住民票または保険証を受取人本人である証明書として住所を書き換え。
年金口座は、勿論最新の住所を届けておくのが最良だけど、前住所でもその口座の効力は保障されている、等々。
銀行の住所変更も同じだから引っ越したらすぐ行くことにしようね、と忍の一字でしめると、ばあばにやっと笑顔。図式をひとつひとつペン先でつつきながら返事を求め、ようやく納得してもらったのは7時過ぎ。
ウチのご飯は8時過ぎかよーと帰路の車中で放心していたのですが、奇跡の如く隣の義母からきんぴらと揚げものが届いていたのでした。おかあさぁぁん。
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