子育ての現場では、日々いたるところでおばあちゃんと母親との連携プレイがみられます。予防接種の待合室には、赤ちゃんを連れてくる祖母の姿が多く、孫を4人も5人も連れてくるおばあちゃんにも出会いました。
娘(母親)たちは仕事だといいます。わたしはその姿を見ながら「子育ては2度やってくるんだ」と気が付きました。孫ができたとき、わたしは仕事を続けられるだろうか?そんな不安もよぎりました。
保育園の整備強化や規制緩和など、待機児童への対策が報道され始めました。しかし、保育園に預けることができれば問題は解決するというのは、短絡的でしょう。
核家族では保育園に預けることができても、病気など何かが起こればもう対応できなくなります。
保育園に送り迎えする母親(父親)たちは、日々奔走しています。わたしの看護士の友人はこんな風です。子どもが夜に熱を出すと、車で1時間かかるの実家まで子どもを連れて行き、回復するまでおばあちゃんへ通院と看護をお願いします、本人はそこから病院へ通勤します。
祖父母の力を借りられれば助かることは事実ですが、おじいちゃんおばあちゃんに100%頼らざるをえない子育てには疑問を感じます。
「少子化のゆくえは、祖父母が握っているといっても過言ではない」。2007年に放映された、NHKクローズアップ現代「“孫育て”はつらいよ」で、ゲストの大日向雅美教授(恵泉女学園大学教授)は、孫育ての問題を提起しました。
おじいちゃん、おばあちゃんが孫を育てることは、多くの大人が子どもに関わる必要性からいうと大切なことでしょう。
しかし、祖父母の立場は父親や母親の立場とは違います。両親に代わって孫育てをする、いや、しなければならない今の実態は、子育て支援が乏しい社会のひずみが、祖父母の世代に寄せられている現象だと思います。
孫を育てる祖父母の多くは50〜70歳代。この世代は高齢者の介護者の年齢とも重なります。日本は今、高齢社会の問題も抱えています。
まさにこの年代の方々が、この先どのように生きていくのか、自分の人生目標をどう設定するのか。その大切な人生設計を立てる時期とも重なってくるのです。それが、介護に孫育てに奔走し、慌ただしく時が過ぎるまま、それでは気の毒です。
孫育ても一方的に否定をするわけではありません。ただ、自分の時間を持ちながら自己実現を果たしながら、お孫さんと関わることができるのであれば良いのですが、限度を越えて負担が大きくなることをとても危惧しています。
子育てもおじいちゃんおばあちゃん?「孫育て支援」が本当の子育て支援でしょうか?人は子育てをすることで自分も育つ、自分育ちのための大切な経験です。
祖父母が変わりに子育てをしてしまったら、「親育て」はいったい誰がするのでしょう?時間配分やバランスの問題なのでしょうが、何事も「孫育て」が大前提にならない子育て支援へと、視点を変えてほしいと思います。
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