最近、街の景観がうるさく取りざたされるようになったせいか、洗濯物が「犠牲」になりつつあるように思います。私が住んでいるマンションでも、ベランダがすりガラスになっていて、洗濯物はそのすりガラスに隠れるように低いところに干すようになっています。何でこんなことになっているのかと不思議に思うのですが、周囲を見回してみても、「すりガラス」で「低いところ」に洗濯物を干すマンションが、いつの頃からか一般的になりつつあるように思います。
この「すりガラス」、困り者なんですよね。風通しが悪いから洗濯物の乾きが悪くなります。おまけに、夏は風通しが悪くてベランダは蒸し風呂状態になります。置いてある植物たちもグッタリしてしまいますし、ダメになってしまったものも少なくありません。もちろん、風通しが悪いと、住んでいる人間の方も暑くて、クーラーをフル稼働することになります。その代わり、冬は暖かいのかもしれませんが、元々マンションというのは気密性がよくて暖かいので、「すりガラスだから、風をさえ
ぎってくれて暖かくていいわ」なんていうありがたみは感じませんねぇ。それどころか、すりガラスを通る分、日差しが弱まってしまいます。
そして、「低いところ」に洗濯物を干すということ。これは、洗濯物を干したことがない人が考えたとしか思えません。干す度にかがまなくてはなりませんので、腰は痛くなるし効率も悪いです。おまけに、シーツはもちろんジーンズや丈の長いジャケットなどは、引きずってしまって干せません。引きずらない長さのものでも、濡れた洗濯物の重みで、引きずってしまいそうで汚らしいです。
最近は乾燥機も出回っていますし、洗濯物を家の中で干しても臭わないように、洗剤も色々開発されているようです。それでも、やっぱり洗濯物はお日さまにあてて乾かすのが一番だと思います。
そもそも、そこまでして洗濯物を隠すほど、洗濯物は街の景観を損ねるものなのでしょうか? 人によって考え方は色々だろうと思います。ですが私は、人が住んでいるのにフトンも干していない、洗濯物も干していない、そんな生活感のない街の方が不気味だと感じます。
洗濯物が景観を損ねるなどと言うくらいなら、街にあふれたゴミとか、落書きとか、所かまわず貼られた宣伝のちらしとか、もっともっと景観を損ねているものはたくさんあると思います。なぜ、洗濯物だけがそこまで悪者にされてしまうのか不思議です。
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