周防正行監督の「それでもボクはやっていない」を観てきました。
【内容】
たまたま乗った電車で、女子高生に痴漢と間違われたフリーター。話を聴いてもらえれば自分がやっていないことは明らか、そんな気持ちで促されるままに駅事務室→警察へ向かう主人公。現実はそんなに簡単なことではなく、1年にわたって裁判で争うことになる。
痴漢は卑劣な犯罪です。許せません。
この映画のなかで、痴漢被害にあった女子高生の辛さと怖さ、声をあげた勇気、声をあげる怖さ・・・たくさんの気持ちが、同じ女性として理解できます。彼女は真の被害者だから…。
確かに、痴漢は犯人を特定するのは難しいと思います。
私自身も、通学の満員電車で、この手はたまたま当たっただけ?それとも痴漢?とよく分からなかったこともあるけど、明らかに痴漢だと分かった経験もあります。だって、いくら電車が混んでいたってスカートがめくれあがるなんて・・・ありえません。
でも痴漢をするひとは、自分だと悟られないようにしているのだから、どこから手がのびてくるのか?分からないことのほうが多かったです。
だから電車に乗るときは安全ピンを手に握り、痴漢をしてくる手にチクチク刺して応戦していた・・・という友人もいたくらいです。
でも痴漢を調査し立証すべき警察や検察、裁判が、あんなでいいのだろうか?
警察で「やっていない」と本当はやっていても無罪を主張する犯罪者はいっぱいいるのでしょう。痴漢の立証は難しいと思います。
でも本人が説明している状況を、最初から否定し、さも犯罪を犯したかのような作文をされる。
痴漢を認めれば罰金で釈放され、無罪を主張すれば拘留される。
無罪を主張するための証拠は、無罪を主張する者が提出しなければならない。
裁判になれば99.9%有罪。
疑わしきは罰せず・・・とか、でるところにでれば分かってもらえる・・・というものではないらしいです。
なにか変じゃないか?と思うのと同時に、誰もが犯罪者になりうる怖さを感じました。
以前テレビで見たのだが、「痴漢をしただろう」と無実の男性に詰め寄り、「警察に行きたくなければお金を出せ・・・」と、脅して小遣い稼ぎをしているような女性もいるらしい。
こうなってくると、もう何が真実なのか?分かりません。
痴漢被害にあった女性の言い分を聴く・・・、この姿勢は必要だと思うし、そうして欲しいと願います。でも意図的に犯罪者に仕立て上げられた者はたまったものではありません。
そして、誰もが痴漢加害者になりうる(される)可能性があるということです。
映画の帰り道、一緒に観に行った夫と、電車に乗るときの対処法を考えました。
女性の乗っている車両をなるべく避け、車内では女性の近くには行かないようにする・・・といっても、都会の満員電車ではかなり難しいことです。
両手の所在を明らかにする・・・つり革や手すりを両手で持つ、本や新聞を持って手をある程度の高さに挙げるetc
その程度の自衛策で大丈夫なのか?すごく心配です。
それでも、もしも冤罪で逮捕されてしまったら?
ただ安易にサインをしちゃいけない、弁護士を呼ぶ・・・くらいしか分かりません。
この映画を観て、現実の怖さを知りました。
どうすればいいのだろう???
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