小学生と幼稚園児の子どもを持つ母です。
数年前までは、産休、育児休暇の取得を経て会社に復帰し、時間短縮勤務で一つの企業に勤めてきました。その後、主人の仕事の都合、私の体力的問題、子どもへの思い、様々な事情から13年間勤めた職場を退職し、専業主婦となりました。
子どもを保育園に預けて働いている時は、それなりに張りのある生活で満足もしていましたが、やはり独身や子どもを持たない方達と全く同じように働くのは、無理なのです。
自分はぴんぴんしているのに子どもの病気で会社に休みたいと申し出る時の、あの後ろめたさ。多少具合が悪そうでも無理して保育園に子どもを押し付けて仕事に向かう時の心残り・・・
同じように勤めている方の多い保育園では、そんな子どもが集まっているので、結局病気のうつし合いで、風邪などが悪化してしまうのです。
今思い返すと子どもにも自分にも戦争のような日々だったなあと思います。
しかし、今は子どもたちがまだ小さいので現実的ではないですが、今後私たちの生活にのしかかってくるであろう、教育問題、年老いてくる両親の生活問題など、今の年収キャパではキツくなる時が近づいているのでは?と不安になることもあり、私も再度仕事に就くということになる日も近いかもしれません。
もちろん私も企業や家計に貢献し、社会参加することにはやぶさかではないのですが、今よく耳にしたり目にする「少子化対策」における育児支援策、加えて男性に対する育児支援策にはちょっと手放しで賛成できません。
確かに、子どもを産む時点から高額な出産費用がかかり、その間の手当てや乳幼児医療費補助などは当面の間は助かります。育児も女性一人が多くを負担するより男性が手助けする時間的余裕が会社から頂けるのならそれに越したことはないと思います。
働く女性が子どもを産まないのはその出口地点でのハードルが高いから、そこのところを援助すれば「産む女性」は増える、企業も産休・育児休暇制度を充実させて支援する・・・
本当でしょうか?
多くの母親はもっとその先、子どもを進学させる際、今の公立学校で果たしてちゃんとした進路を確保できるのか?ということに不安を抱いており、氾濫する情報に埋まりながら「やっぱり子どもを育てるのは経済的に大変」と思ってしまうのではないでしょうか?
子どもを進学させるために小学校、はたまた幼稚園から「お受験」があり、そのための費用、労力は計り知れません。
その他学校以外の塾、習い事も盛んで、いまや「放課後はなにもない」という子どもを捜すほうが難しいほど。
将来、大学受験を考えるなら私立学校に通ってしっかりと環境を整えるべき、等の意見が溢れています、いや溢れすぎだと思いませんか?
普通に公立の学校に進み、普通に受験勉強し、普通に希望の学校で学ぶことができる、というのは幻想なのかと思ってしうほどです。
でも、もし子どもたちが公立学校で十分に学ぶことができ、よい教師に出会い、よい友人にも恵まれるという環境がしっかりできていれば、親として安心してその道を指し示すことができるでしょう。公立学校の質の低下が叫ばれる昨今ではまだ遠き道程なのかもしれませんが、もしそうなれば「子どもを育てるのは大変じゃない」と考える女性が増え、自ずから出生率が上がるのではないでしょうか。
だからこそ思うのです。少子化を止めるには子を持つ女性が働きやすい職場、環境づくりも大切ですがそれ以上に「教育の場の質的向上」が先ではないですか?
せっかく私たちの元に生まれてきてくれた子どもたちを公共の場で学ばせ、遊ばせ、育てていくのが基本という、当たり前だった考えを再認識したいと思う、このごろであります。
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