私の町にはALT(英語助教諭)が二人すんでおられます。町の公民館活動で社会人向けの英会話教室の募集があり、2年前から通っています。先生は日本語がほとんど話せません。こちらは英語をほとんど話せません。そんなところからのレッスンのスタートでした。それまで、外国の方と接する機会もなく、見たことのあるのは映画の中だけ。大学まで学んだ受験英語は何の役にも立たず、四苦八苦の授業の連続でしたが、その中で英会話以上のものを学んでいます。
会話の教本のとおりのシチュエーションは訪れるはずはなく、暗記していても、使えるチャンスはありません。「これはなに?これはなんというの?」と飽きずに質問すること。電話で(これは表情が見えないのでかなりむずかしいです)短い用件を伝えること。そんなことを繰り返していくうちに、人間的に信頼関係が生まれ、言葉の壁を越えて、国の壁を超えて、友情が芽生え、その過程がとても新鮮なのです。異国にきて一生懸命はたらき、習慣の違いを何とか受容しようと努力し、自分の仕事や人生にほこりをもっておられる先生方との時間はとても貴重なものです。海外旅行に行く機会は一生ないかもしれないけれど、ちいさなちいさな旅を先生の隣で感じています。
自分の意見を主張する。相手、国との違いを完全には理解できないけれど、違いがあるということを知ることができる。まちがいがあったら、あかるくわびて、すぐ気持ちを切り替える。同じ日本人からは学び得ないことを、先生はたくさん教えてくださいます。英語圏だけでなく、ではほかの国の人はどんななのだろうと、興味は広がります。 |